傷寒論 原文 その8

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厥陰病篇

弁厥陰病脈証并治

厥陰病の脈証并びに治を弁ず

●第一節…第三百三十六章

第三百三十六章

厥陰之為病、消渇、気上撞心、心中疼熱、饑而不欲食、食則吐〔蚘〕、下之利不止、

厥陰之為病、消渇、気上撞心、心中疼熱、饑而不欲食、食則吐、下之利不止、

【訓読】
厥陰の病為る、消渇(しょうかつ)し、気心に上撞(じょうとう)し、心中疼熱し、饑(う)ゑて食を欲せず、食すれば則ち吐し、之を下せば利止まず。

以下の十一章(第三百三十七章、第三百三十八章、第三百三十九章、第三百四十章、第三百四十一章、第三百四十二章、第三百四十三章、第三百四十四章、第三百四十五章、第三百四十六章、第三百四十七章)は、皆多くは空理を以て論を立つ。恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第三百三十七章

厥陰中風、脈微浮、為欲愈、不浮、為未愈、

第三百三十八章

厥陰病、欲解時、従丑至卯上、

第三百三十九章

厥陰病、渇欲飲水者、少少与之愈、

第三百四十章

諸四逆厥者、不可下之、虚家亦然、

第三百四十一章

傷寒、先厥、後発熱、而利者、必自止、見厥復利

第三百四十二章

傷寒、始発熱六日、厥反九日、而利、凡厥利者、当不能食、今反能食者、恐為除中、食以索餅、不発熱者、知胃気尚在、必愈、恐暴熱来出、而復去也、後三日脈之、其熱続在者、期之旦日夜半愈、所以然者、本発熱六日、厥反九日、復発熱三日、幷並前六日、亦為九日、与厥相応、故期之旦日夜半愈、後三日脈之、而脈数、其熱不罷者、此為熱気有余、必発癰膿也、

第三百四十三章

傷寒、脈遅、六七日、而反与黄芩湯、徹其熱、脈遅為寒、今与黄芩湯、復除其熱、腹中応冷、当不能食、今反能食、此名除中、必死、

第三百四十四章

傷寒、先厥、後発熱、下利必自止、而反汗出、咽中痛者、其喉為痺、発熱無汗、而利必自止、若不止、必便膿血、便膿血者、其喉不痺、

第三百四十五章

傷寒、一二日、至四五日、而厥者、必発熱、前熱者、後必厥、厥深者、熱亦深、厥微者、熱亦微、厥応下之、而反発汗者、必口傷爛赤、

第三百四十六章

傷寒、病厥五日、熱亦五日、設六日、当復厥、不厥者、自愈、厥終不過五日、以熱五日、故知自愈、

第三百四十七章

凡厥者、陰陽気不相順接、便為厥、厥者、手足逆冷者是也、

●第二節…第三百四十八章、第三百六十章、第三百六十一章、第三百六十二章、第三百六十三章、第三百六十四章

第三百四十八章

傷寒、脈微而厥、至七八日、膚冷、其人躁、無暫安時者、此為蔵厥、非為蚘厥也、蚘厥者、其人当吐蚘、令病者静、而復時煩者、此為蔵寒、蚘上入膈、故煩、須臾復止、得食而嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人当自吐蚘、蚘厥者、烏梅圓主之、〔又主久利方〕、

傷寒、脈微而厥、至七八日、膚冷、其人躁、無暫安時者、此為蔵厥、非為蚘厥也、蚘厥者、其人当吐蚘、令病者静、而復時煩者、此為蔵寒、蚘上入膈、故煩、須臾復止、得食而嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人当自吐蚘、蚘厥者、烏梅圓主之、

【訓読】
傷寒、脈微にして厥し、七八日に至って膚冷ゆ、其の人躁ぎて、暫くも安き時無き者は、此れを蔵厥と為す。蚘の為に厥するには非るなり。蚘厥は、其の人当に蚘を吐すべし。病者をして静かに、而(しか)して復た時に煩せしむるは、此れ蔵の寒ゆるが為に、蚘上って膈に入る。故に煩す。須臾(しゅゆ)にして復た止み、食を得て嘔し、又煩する者は、蚘食臭を聞いて出づるなり。其の人当に自づから蚘を吐すべし。蚘厥は、烏梅圓之を主る。

烏梅圓方
烏梅三百個 細辛六両 乾薑十両 黄連一觔 当帰四両 附子六両 蜀椒四両 桂枝六両 人参六両 黄柏六両
右十味、異搗篩、合治之、以苦酒漬烏梅一宿、去核、蒸之五斗米下、飯熟搗成塗、和薬、令相得、内臼中、与蜜、杵二千下、圓如梧桐子大、先食飲服十圓、日三服、稍加至二十圓、禁生冷、滑物、臭食等、

【訓読】
烏梅圓の方
烏梅三百個 細辛六両 乾薑十両 黄連一觔 当帰四両 附子六両 蜀椒四両 桂枝六両 人参六両 黄柏六両
右十味、異に搗き篩ひ、合して之を治し、苦酒を以て、烏梅を漬すこと一宿、核を去り、之を五斗米の下に蒸し、飯熟し、搗きて塗と成し、薬に和し、相得しめ、臼中に内れ、蜜を与え、杵くこと二千下。圓すること梧桐子の大きさ如(ばか)り。食飲に先って十圓を服す。日に三服す。稍加へて二十圓に至る、生冷、滑物、臭食等を禁ず。

以下の四章(第三百四十九章、第三百五十章、第三百五十一章、第三百五十二章)も、亦単に理を以て推測する者に属す。恐らく、本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第三百四十九章

傷寒、熱少微厥、指頭寒、黙黙不欲食、煩躁、数日、小便利、色白者、此熱除也、欲得食、其病為愈、若厥而嘔、胸脅煩満者、其後必便血、

第三百五十章

病者、手足厥冷、言我不結胸、小腹満、按之痛者、此冷結在膀胱関元也、

第三百五十一章

傷寒、発熱四日、厥反三日、復熱四日、厥少熱多者、其病当愈、四日至七日、熱不除者、其後必便膿血、

第三百五十二章

傷寒、厥四日、熱反三日、復厥五日、其病為進、寒多熱少、陽気退、故為進也、

以下の四章(第三百五十三章、第三百五十四章、第三百五十五章、第三百五十六章)は、主として厥陰の死候を論ず。然れども此れ亦後人の補入に疑有り。…『傷寒論講義』

第三百五十三章

傷寒、六七日、脈微、手足厥冷、煩躁、灸厥陰、厥不還者死、

第三百五十四章

傷寒、発熱、下利厥逆、躁不得臥者死、

第三百五十五章

傷寒、発熱、下利至甚、厥不止者死、

第三百五十六章

傷寒、六七日不利、便発熱而利、其人汗出不止者死、有陰無陽故也、

以下の三章(第三百五十七章、第三百五十八章、第三百五十九章)は、皆寒厥を論ぜるも、恐らくは後人の補入する所ならん。…『傷寒論講義』

第三百五十七章

傷寒、五六日、不結胸、腹濡、脈虚、復厥者、不可下、此為亡血、下之死、

第三百五十八章

発熱而厥、七日下利者、為難治、

第三百五十九章

傷寒、脈促、手足厥逆、可灸之、

第三百六十章

傷寒、脈滑而厥者、裏有熱也、白虎湯主之、

【訓読】
傷寒、脈滑にして厥する者は、裏に熱有るなり、白虎湯之を主る。

第三百六十一章

手足厥寒、脈細欲絶者、当帰四逆湯主之、

【訓読】
手足厥寒し、脈細にして絶せんと欲する者は、当帰四逆湯之を主る。

当帰四逆湯方
当帰三両 桂枝三両 芍薬三両 細辛三両 甘草二両 通草二両 大棗二十五枚
右七味、以水八升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服、

【訓読】
当帰四逆湯の方
当帰三両 桂枝三両 芍薬三両 細辛三両 甘草二両 通草二両 大棗二十五枚
右七味、水八升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。日に三服す。

第三百六十二章

若其人、内有久寒者、宜当帰四逆加呉茱萸生姜湯主之、

【訓読】
若し其の人、内に久寒有る者は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯に宜し之を主る。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯方
当帰三両 芍薬三両 甘草二両 通草二両 桂枝三両 細辛三両 生姜半斤 呉茱萸二升 大棗二十五枚
右九味、以水六升、清酒六升和、煮取五升、去滓、温分五服、

【訓読】
当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方
当帰三両 芍薬三両 甘草二両 通草二両 桂枝三両 細辛三両 生姜半斤 呉茱萸二升 大棗二十五枚
右九味、水六升を以て、清酒六升を和し、煮て五升を取り、滓を去り、温め分かち五服す。

第三百六十三章

大汗出、熱不去、内拘急、四肢疼、又下利厥逆、而悪寒者、四逆湯主之、

【訓読】
大汗(たいかん)出で、熱去らず、内拘急し、四肢疼み、又下利厥逆して、悪寒する者は、四逆湯之を主る。

第三百六十四章

大汗、若大下利、而厥冷者、四逆湯主之、

【訓読】
大汗し、若大下利して、厥冷する者は、四逆湯之を主る。

●第三節…第三百六十五章、第三百六十六章

第三百六十五章

病人、手足厥冷、脈乍緊者、邪結在胸中、心下満而煩、饑不能食者、病在胸中、当須吐之、宜瓜蒂散、

【訓読】
病人、手足厥冷し、脈乍(たちま)ち緊なる者は、邪結ぼれて胸中に在り。心下満して煩し、饑ゑて食すること能はざる者は、病胸中に在り。当に須(すべから)く之を吐すべし。瓜蒂散に宜し。

第三百六十六章

傷寒、厥而心下悸者、宜先治水、当服茯苓甘草湯、却治其厥、不爾、水漬入胃、必作利也、

【訓読】
傷寒、厥して心下悸する者は、宜しく先づ水を治すべし。当に茯苓甘草湯を服すべし。却って其の厥を治す。爾(しか)らずんば、水漬して胃に入り、必ず利となるなり。

以下の二章(第三百六十七章、第三百六十八章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第三百六十七章

傷寒、六七日、大下後、寸脈沈而遅、手足厥逆、下部脈不至、喉咽不利、唾膿血、泄利不止者、為難治、麻黄升麻湯主之、

麻黄升麻湯方
麻黄二両半 升麻一両一分 当帰一両一分 知母十八銖 黄芩十八銖 萎蕤十八銖 芍薬 天門冬 桂枝 茯苓 甘草 石膏 白朮 乾薑各六銖
右十四味、以水一斗、先煮麻黄、一両沸、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓、分温三服、相去如炊三斗米頃、令尽、汗出愈、

第三百六十八章

傷寒、四五日、腹中痛、若転気、下趣少腹者、此欲自利也、

●第四節…第三百六十九章、第三百七十五章、第三百八十一章

第三百六十九章

傷寒、本自寒下、医復吐下之、寒格〔更逆吐下〕、若食入口即吐、乾薑黄連黄芩人参湯主之、

傷寒、本自寒下、医復吐下之、寒格、若食入口即吐者、乾薑黄連黄芩人参湯主之、

【訓読】
傷寒、本(もと)自づから寒下し、医復(かえ)って之を吐下し、寒格(かんかく)す。若し食、口に入れば即ち吐する者は、乾薑黄連黄芩人参湯之を主る。
※此の「即ち」は直ちにの意なり。此の句「飲食、口に入れば則ち吐す」(第三百三十四章)と相似て異れり。…『傷寒論講義』

乾薑黄連黄芩人参湯方
乾薑 黄連 黄芩 人参各三両
右四味、以水六升、煮取二升、去滓、分温再服、

【訓読】
乾薑黄連黄芩人参湯の方
乾薑 黄連 黄芩 人参各三両
右四味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、分ち温め再服す。

以下の五章(第三百七十章、第三百七十一章、第三百七十二章、第三百七十三章、第三百七十四章)は、共に恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第三百七十章

下利、有微熱而渇、脈弱者、令自愈、

第三百七十一章

下利、脈数、有微熱、汗出、令自愈、設復緊、為未解、

第三百七十二章

下利、手足厥冷、無脈者、灸之不温、若脈不還、反微喘者、死、

第三百七十三章

少陰負趺陽者、為順也、

第三百七十四章

下利、寸脈反浮数、尺中自渋者、必清膿血、

第三百七十五章

下利清穀、不可攻表、汗出必脹満、

【訓読】
下利清穀は、表を攻むべからず。汗出づれば必ず脹満す。

以下の五章(第三百七十六章、第三百七十七章、第三百七十八章、第三百七十九章、第三百八十章)は、固より死生判断の資と為すに足る者無きに非ずと雖も、恐らくは皆本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第三百七十六章

下利、脈沈弦者、下重也、脈大者、為未止、脈微弱数者、為欲自止、雖発熱不死、

第三百七十七章

下利、脈沈而遅、其人面少赤、身有微熱、下利清穀者、必鬱冒、汗出而解、病人必微厥、所以然者、其面戴陽、下虚故也、

第三百七十八章

下利、脈数而渇者、今自愈、設不差、必清膿血、以有熱故也、

第三百七十九章

下利後、脈絶、手足厥冷、晬時脈還、手足温者生、脈不還者死、

第三百八十章

傷寒、下利日十余行、脈反実者死、

第三百八十一章

下利清穀、裏寒外熱、汗出而厥者、通脈四逆湯主之、

【訓読】
下利清穀し、裏寒外熱し、汗出でて厥する者は、通脈四逆湯之を主る。

●第五節…第三百八十二章、第三百八十三章、第三百八十四章、第三百八十五章、第三百八十六章

第三百八十二章

熱利、下重者、白頭翁湯主之、

【訓読】
熱利、下重する者は、白頭翁湯之を主る。

白頭翁湯方
白頭翁二両 黄柏三両 黄連三両 秦皮三両
右四味、以水七升、煮取二升、去滓、温服一升、不愈、更服一升、

【訓読】
白頭翁湯の方
白頭翁二両 黄柏三両 黄連三両 秦皮三両
右四味、水七升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、一升を温服す。愈えざれば、更に一升を服す。

第三百八十三章

下利、腹脹満、身体疼痛者、先温其裏、乃攻其表、温裏、四逆湯、攻表、桂枝湯、

【訓読】
下利し、腹脹満し、身体疼痛する者は、先づ其裏を温めて、乃ち其の表を攻む。裏を温むるには、四逆湯、表を攻むるには、桂枝湯。

第三百八十四章

下利、欲飲水者、以有熱故也、白頭翁湯主之、

【訓読】
下利し、水を飲まんと欲する者は、熱有るを以ての故なり。白頭翁湯之を主る。

第三百八十五章

下利、譫語者、有燥屎也、宜小承気湯、

【訓読】
下利して、譫語する者は、燥屎有るなり。小承気湯に宜し。

第三百八十六章

下利後、更煩、按之心下濡者、為虚煩也、宜梔子豉湯、

【訓読】
下利の後、更に煩し、之を按じて心下濡なる者は、虚煩すと為すなり。梔子豉湯に宜し。

以下の第三百八十七章は、後人の補入に疑有り。…『傷寒論講義』

第三百八十七章

嘔家、有癰膿者、不可治嘔、膿尽自愈、

●第六節…第三百八十八章、第三百八十九章、第三百九十章

第三百八十八章

嘔而脈弱、小便復利、身有微熱、見厥者難治、四逆湯主之、

【訓読】
嘔して脈弱、小便復た利し、身に微熱有り、厥を見はす者は治し難し。四逆湯之を主る。

第三百八十九章

乾嘔、吐涎沫、頭痛者、呉茱萸湯主之、

【訓読】
乾嘔し、涎沫を吐し、頭痛する者は、呉茱萸湯之を主る。

第三百九十章

嘔而発熱者、小柴胡湯主之、

【訓読】
嘔して発熱する者は、小柴胡湯之を主る。

以下の二章(第三百九十一章、第三百九十二章)は、共に恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第三百九十一章

傷寒、大吐、大下之、極虚、復極汗者、以其人外気怫鬱、復与之水、以発其汗、因得噦、所以然者、胃中寒冷故也、

第三百九十二章

傷寒、噦而腹満、視其前後、知何部不利、利之即愈、

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