傷寒論 原文 その4

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陽明病篇

弁陽明脈証并治

弁陽明病脈証并治

【訓読】
陽明病の脈証并びに治を弁ず

以下の章(第百八十六章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百八十六章

問曰、病有太陽陽明、有正陽陽明、有少陽陽明、何謂也、答曰、太陽陽明者、脾約是也、正陽陽明者、胃家実是也、少陽陽明者、発汗、利小便已、胃中燥、煩、実、大便難是也、

●第一節…第百八十七章

第百八十七章

陽明之為病、胃家実也、

【訓読】
陽明の病たる、胃家実するなり。

以下の四章(第百八十八章、第百八十九章、第百九十章、第百九十一章)は、皆恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百八十八章

問曰、何縁得陽明病、答曰、太陽病、発汗、若下、若利小便、此亡津液、胃中乾燥、因転属陽明、不更衣、内実、大便難者、此名陽明也、

第百八十九章

問曰、陽明病、外証云何、答曰、身熱、汗自出、不悪寒、反悪熱也、

第百九十章

問曰、病有得之一日、不発熱而悪寒者、何也、答曰、雖得之一日、悪寒、将自罷、即自汗出而悪熱也、

第百九十一章

問曰、悪寒何故自罷、答曰、陽明居中、土也、万物所帰、無所復伝、始雖悪寒、二日自止、此為陽明病也、

以下の二章(第百九十二章、第百九十三章)は一節なり。共に陽明転属の証を論じたるなり。然れども、此の二章は何れも後人の補入せる者の如し。…『傷寒論講義』

第百九十二章

本太陽初得病時、発其汗、汗先出不徹、因転属陽明也、

第百九十三章

傷寒、発熱、無汗、嘔不能食、而反汗出濈濈然者、是転属陽明也、

以下の三章(第百九十四章、第百九十五章、第百九十六章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百九十四章

傷寒三日、陽明脈大、

第百九十五章

傷寒、脈浮而緩、手足自温者、是為繋在太陰、太陰者、身当発黄、若小便自利者、不能発黄、至七八日、大便鞕者、為陽明病也、

第百九十六章

傷寒、転繋陽明者、其人濈然微汗出也、

以下の章(第百八十六章)恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百九十七章

陽明中風、口苦、咽乾、腹満、微喘、発熱、悪寒、脈浮而緊、若下之、則腹満、小便難也、

以下の九章(第百九十八章、第百九十九章、第二百章、第二百一章、第二百二章、第二百三章、第二百四章、第二百五章、第二百六章)は、共に皆本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百九十八章

陽明病、若能食、名中風、不能食、名中寒、

第百九十九章

陽明病、若中寒者、不能食、小便不利、手足濈然汗出、此欲作固瘕、必大便初鞕後溏、所以然者、以胃中冷、水穀不別故也、

第二百章

陽明病、欲食、小便反不利、大便自調、其人骨節疼、翕翕如有熱状、奄然発狂、濈然汗出而解者、此水不勝穀気、与汗共併、脈緊則愈、

第二百一章

陽明病、欲解時、従申至戌上、

第二百二章

陽明病、不能食、攻其熱、必噦、所以然者、胃中虚冷故也、以其人本虚、故攻其熱必噦、

第二百三章

陽明病、脈遅、食難用飽、飽則微煩、頭眩、必小便難、此欲作穀疽、雖下之、腹満如故、所以然者、脈遅故也、

第二百四章

陽明病、法多汗、反無汗、其身如虫行皮中状者、此以久虚故也、

第二百五章

陽明病、反無汗、而小便利、二三日、嘔而欬、手足厥者、必苦頭痛、若不咳、不嘔、手足不厥者、頭不痛、

第二百六章

陽明病、但頭眩、不悪寒、故能食而欬、其人咽必痛、若不欬者、咽不痛、

以下の二章(第二百七章、第二百八章)は一節なり。然れども此の二章も亦本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百七章

陽明病、無汗、小便不利、心中懊憹者、身必発黄、

第二百八章

陽明病、被火、額上微汗出、小便不利者、必発黄、

以下の三章(第二百九章、第二百十章、第二百十一章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百九章

陽明病、脈浮而緊者、必潮熱、発作有時、但浮者、必盗汗出、

第二百十章

陽明病、口燥、但欲漱水、不欲嚥者、此必衂、

第二百十一章

陽明病、本自汗出、医更重発汗、病已差、尚微煩、不了了者、此必大便必鞕故也、以亡津液、胃中乾燥、故令大便鞕、当問其小便日幾行、若本小便日三四行、今日再行、故知大便不久出、今為小便数少、以津液当還入胃中、故知不久必大便也、

●第二節…第二百十二章、第二百十三章

第二百十二章

傷寒、嘔多、雖有陽明証、不可攻之、

【訓読】
傷寒、嘔多きは、陽明の証有りと雖も、之を攻むべからず。

第二百十三章

陽明病、心下鞕満者、不可攻之、攻之、利遂不止者死、利止者愈、

陽明病、心下鞕満者、不可攻之、

【訓読】
陽明病、心下鞕満する者は、之を攻むべからず。

以下の章(第二百十四章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百十四章

陽明病、面合色赤、不可攻之、必発熱、色黄者、小便不利也、

●第三節…第二百十五章、第二百十六章、第二百十七章

第二百十五章

陽明病、不吐、不下、心煩者、可与調胃承気湯、

【訓読】
陽明病、吐せず、下らず、心煩する者は、調胃承気湯を与ふべし。

第二百十六章

陽明病、脈遅、雖汗出、不悪寒者、其身必重、短気、腹満而喘、有潮熱者、此外欲解、可攻裏也、手足濈然汗出者、此大便已鞕也、大承気湯主之、若汗多、微発熱、悪寒者、外未解也、其熱不潮、未可与承気湯、若腹大満不通者、可与小承気湯、微和胃気、勿令至大泄下、

【訓読】
陽明病、脈遅、汗出づと雖も、悪寒せざる者は、其の身必ず重く、短気し、腹満して喘し、潮熱有る者は、此れ外解せんと欲す。裏を攻むべきなり。手足濈然として汗出づる者は、此れ大便已に鞕きなり。大承気湯之を主る。若し汗多く、微しく発熱、悪寒する者は、外未だ解せざるなり。其の熱潮せずんば、未だ承気湯を与ふべからず。若し腹大満し不通の者は、小承気湯を与へて、微しく胃気を和すべし。大いに泄下せしむること勿れ。

大承気湯方
大黄四両 厚朴半斤 枳実五枚 芒硝三合
右四味、以水一斗、先煮二物、取五升、去滓、内大黄、煮取二升、去滓、内芒硝、更上火、微一両沸、分温再服、得下、余勿服、

【訓読】
大承気湯の方
大黄四両 厚朴半斤 枳実五枚 芒硝三合
右四味、水一斗を以て、先づ二物を煮て、五升を取り、滓を去り、大黄を内れ、煮て二升を取り、滓を去り、芒硝を内れ、更火に上せ、微しく一両沸し、分ち温め再服す。下るを得ば、余は服すること勿れ。

小承気湯方
大黄四両 厚朴二両 枳実三枚
已上三味、以水四升、煮取一升二合、去滓、分温二服、初服湯、当更衣、不爾者、尽飲之、若更衣者、勿服之、

【訓読】
小承気湯の方
大黄四両 厚朴二両 枳実三枚
已上三味、水四升を以て、煮て一升二合を取り、滓を去り、分ち温め二服す。初め湯を服して、当に更衣すべし。爾らざる者は、尽く之を飲む。若し更衣する者は、之を服すること勿れ。

第二百十七章

陽明病、潮熱、大便微鞕者、可与大承気湯、不鞕者、不与之、〔若不大便六七日、恐有燥屎、欲知之法、少与小承気湯、湯入腹中、転失気者、此有燥屎也、乃可攻之、若不転失気者、此但初頭鞕、後必溏、不可攻之、攻之、必脹満、不能食也、欲飲水者、与水則□、其後発熱者、必大便復鞕而少也、以小承気湯和之、不転失気者、慎不可攻也〕、

陽明病、潮熱、大便微鞕者、可与大承気湯、不鞕者、不与之、

【訓読】
陽明病、潮熱し、大便微鞕の者は、大承気湯を与ふべし。鞕からざる者は、之を与へず。

●第四節…第二百十八章、第二百十九章、第二百二十章

第二百十八章

夫実則譫語、虚則鄭声、鄭声、重語也、

【訓読】
夫れ実すれば則ち譫語し、虚すれば則ち鄭声す。鄭声は、重語なり。

第二百十九章

直視、譫語、喘満者死、下利者亦死、

【訓読】
直視、譫語し、喘満する者は死す。下利する者も亦死す。

第二百二十章

発汗多、若重発汗者、亡其陽、譫語、脈短者死、脈自和者不死、

【訓読】
発汗すること多きに、若し重ねて発汗する者は、其の陽を亡ひ、譫語し、脈短なる者は死す。脈自づから和する者は死せず。

●第五節…第二百二十一章、第二百二十二章、第二百二十三章

第二百二十一章

傷寒、若吐、若下後、不解、不大便、五六日、上至十余日、日哺所発潮熱、不悪寒、独語、如見鬼状、若劇者、発則不識人、循衣摸牀、タ而不安、微喘、直視、脈弦者生、濇者死、微者、但発熱、譫語者、大承気湯主之、若一服利、止後服、

傷寒、若吐、若下後、不解、不大便、五六日、上至十余日、日哺所発潮熱、不悪寒、独語如見鬼状、若劇者、発則不識人、循衣摸牀、タ而不安、微喘、直視、大承気湯主之、

【訓読】
傷寒、若しくは吐し、若しくは下して後、解せず、大便せざること、五六日、上より十余日に至り、日哺所潮熱を発し、悪寒せず、独語し、鬼を見る状の如し。若し劇しき者は、発すれば則ち人を識らず、循衣摸牀(じゅんいもしょう)し、タ(てき)して安からず、微喘し、直視す。大承気湯之を主る。

第二百二十二章

陽明病、其人多汗、以津液外出、胃中燥、大便必鞕、鞕則譫語、小承気湯主之、若一服、譫語止者、更莫復服、

【訓読】
陽明病、其の人多汗なれば、津液外に出で、胃中燥くを以て、大便必ず鞕し。鞕ければ則ち譫語す。小承気湯之を主る。若し一服にして、譫語止まば、更に復た服すること莫れ。

第二百二十三章

陽明病、譫語、発潮熱、脈滑而疾者、小承気湯主之、因与承気湯一升、腹中転矢気者、更服一升、若不転矢気者、勿更与之、明日又不大便、脈反微濇者、裏虚也、為難治、不可更与承気湯也

陽明病、譫語、発潮熱、脈滑而疾者、小承気湯主之、

【訓読】
陽明病、譫語し、潮熱を発し、脈滑にして疾なる者は、小承気湯之を主る。

以下の四章(第二百二十四章、第二百二十五章、第二百二十六章、第二百二十七章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百二十四章

陽明病、譫語、有潮熱、反不能食者、胃中必有燥屎五六枚也、若能食者、但鞕爾、宜大承気湯主之、

第二百二十五章

陽明病、下血、譫語者、此為熱入血室、但頭汗出者、刺期門、随其実而瀉之、濈然汗出則愈、

第二百二十六章

汗出、譫語者、以有燥屎、在胃中、此為風也、須下之、過経乃可下之、下之若早、語言必乱、以表虚裏実故也、下之則愈、宜大承気湯、

第二百二十七章

傷寒、四五日、脈沈而喘満、沈為在裏、而反発其汗、津液越出、大便為難、表虚裏実、久則譫語、

●第六節…第二百二十八章、第二百二十九章、第二百三十章、第二百三十一章、第二百三十二章、第二百三十三章、第二百三十四章

第二百二十八章

三陽合病、腹満、身重、難以転側、口不仁、而面垢、譫語、遺尿、発汗則譫語、下之則額上生汗、手足逆冷、若自汗出者、白虎湯主之、

三陽合病、腹満、身重、難以転側、口不仁、而面垢、譫語、遺尿、発汗則譫語甚、下之則額上生汗、手足逆冷、若自汗出者、白虎湯主之、

【訓読】
三陽の合病、腹満し、身重く、以て転側難く、口不仁にして、面に垢つき、譫語し、遺尿す。発汗すれば則ち譫語甚し、之を下せば則ち額上に汗を生じ、手足逆冷す。若し自汗出づる者は、白虎湯之を主る。

第二百二十九章

二陽併病、太陽証罷、但発潮熱、手足漐漐汗出、大便難而譫語者、下之則愈、宜大承気湯、

【訓読】
二陽の併病、太陽の証罷み、但だ潮熱を発し、手足漐漐(ちゅうちゅう)として汗出で、大便難にして譫語する者は、之を下せば則ち愈ゆ。大承気湯に宜し。

第二百三十章

陽明病、脈浮而緊、咽燥、口苦、腹満而喘、発熱、汗出、不悪寒、反悪熱、身重、若発汗則躁、心憒憒、反譫語、若加焼針、必怵惕、煩躁不得眠、若下之、則胃中空虚、客気動膈、心中懊憹、舌上胎者、梔子豉湯主之、

【訓読】
陽明病、脈浮にして緊、咽燥き、口苦く、腹満して喘し、発熱し、汗出で、悪寒せず、反って悪熱し、身重し。若し発汗すれば則ち躁し、心憒憒として、反って譫語す。若し焼針を加ふれば、必ず怵惕し、煩躁して、眠ることを得ず。若し之を下せば、則ち胃中空虚し、客気膈に動き、心中懊憹す。舌上に胎ある者、梔子豉湯之を主る。

第二百三十一章

若渇欲飲水、口乾舌燥者、白虎加人参湯主之、

【訓読】
若し渇して水を飲まんと欲し、口乾き舌燥く者は、白虎加人参湯之を主る。

第二百三十二章

若脈浮、発熱、渇欲飲水、小便不利者、猪苓湯主之、

【訓読】
若し脈浮に、発熱し、渇して水を飲まんと欲し、小便不利の者は、猪苓湯之を主る。

第二百三十三章

陽明病、汗出多而渇者、不可与猪苓湯、以汗多胃中燥、猪苓湯復利其小便故也、

【訓読】
陽明病、汗出づること多くして渇する者は、猪苓湯を与ふべからず、汗多ければ、胃中燥く。猪苓湯は復た其の小便を利するを以ての故なり。

第二百三十四章

脈浮而遅、表熱裏寒、下利清穀者、四逆湯主之、

【訓読】
脈浮にして遅、表熱裏寒、下利清穀の者は、四逆湯之を主る。

以下の二章(第二百三十五章、第二百三十六章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百三十五章

若胃中虚冷、不能食者、飲水則噦、

第二百三十六章

脈浮、発熱、口乾、鼻燥、能食者則衄、

●第七節…第二百三十七章、第二百三十八章、第二百三十九章

第二百三十七章

陽明病、下之、其外有熱、手足温、不結胸、心中懊憹、饑不能食、但頭汗出者、梔子豉湯主之、

【訓読】
陽明病、之を下し、其の外熱有り、手足温に、結胸せず、心中懊憹し、饑えて食する能はず、但だ頭のみ汗出づる者は、梔子豉湯之を主る。

第二百三十八章

陽明病、発潮熱、大便溏、小便自可、胸脇満不去者、与小柴胡湯、

【訓読】
陽明病、潮熱を発し、大便溏し、小便自づから可。胸脇満去らざる者は、小柴胡湯之を主る。

第二百三十九章

陽明病、脇下鞕満、不大便而嘔、舌上白胎者、可与小柴胡湯、上焦得通、津液得下、胃気因和、身濈然汗出而解也、

【訓読】
陽明病、脇下鞕満し、大便せずして嘔し、舌上白胎の者は、小柴胡湯を与ふべし。上焦通ずるを得、津液下るを得、胃気因って和し、身濈然として汗出でて解すなり。

以下の章(第二百四十章)後人の作為に疑有り。…『傷寒論講義』

第二百四十章

陽明中風、脈弦浮大、而短気、腹都満、脇下及心痛、久按之気不通、鼻乾、不得汗、嗜臥、一身及目悉黄、小便難、有潮熱、時時□、耳前後腫、刺之小差、外不解、病過十日、脈続浮者、与小柴胡湯、脈但浮無余証者、与麻黄湯、若不尿、腹満加噦者、不治、

●第八節…第二百四十一章、第二百四十二章、第二百四十三章

第二百四十一章

陽明病、自汗出、若発汗、小便自利者、此為津液内竭、雖硬不可攻之、当須自欲大便、宜蜜煎導而通之、若土瓜根及大猪胆汁、皆可為導、

陽明病、自汗出、若発汗、小便自利者、此為津液内竭、雖硬不可攻之、当須自欲大便、宜蜜煎導而通之、

【訓読】
陽明病、自汗出で、若しくは発汗し、小便自利する者は、此れ津液内に竭くと為す。硬しと雖も之を攻むべからず。当に自づから大便せんと欲するを須つべし。宜しく蜜煎導にて之を通ずべし。

蜜煎導方
蜜七合
一味内銅器中、微火煎之、稍疑似飴状、擾之勿令焦著、欲可丸、併手捻作挺、令頭鋭、大如指長二寸許、当熱時急作、冷則硬、以内穀道中、以手急抱、欲大便時、乃去之、
猪胆汁方
大猪胆一枚瀉汁
和醋少許、以潅穀道中、如一食頃、当大便出

蜜煎導方
蜜七合
一味内銅器中、微火煎之、稍疑似飴状、擾之勿令焦著、欲可丸、併手捻作挺、令頭鋭、大如指長二寸許、当熱時急作、冷則硬、以内穀道中、以手急抱、欲大便時、乃去之、

【訓読】
蜜煎導の方
蜜七合
一味銅器中に内れ、微火にて之を煎じ、稍疑りて飴状に似る。之を擾して焦著せしむる勿れ。丸すべきを欲せば、併手捻りて挺(てい)を作り、頭をして鋭く、大きさ指の如く長さ二寸許りならしむ。当に熱時に急に作る、冷ゆれば則ち硬。以て穀道中に内れ、手を以て急に抱く。大便せんと欲するの時、乃ち之を去る。

第二百四十二章

陽明病、脈遅、汗出多、微悪寒者、表未解也、可発汗、宜桂枝湯、

【訓読】
陽明病、脈遅、汗出づること多く、微しく悪寒する者は、表未だ解せざるなり。発汗すべし、桂枝湯に宜し。

第二百四十三章

陽明病、脈浮、無汗而喘者、発汗則愈、宜麻黄湯、

【訓読】
陽明病、脈浮、汗無くして喘する者は、発汗すれば則ち愈ゆ。麻黄湯に宜し。

●第九節…第二百四十四章、第二百四十五章

第二百四十四章

陽明病、発熱、汗出、此為熱越、不能発黄也、但頭汗出、身無汗、劑頸而還、小便不利、渇引水漿者、此為瘀熱在裏、身必発黄、茵蔯蒿湯主之、

【訓読】
陽明病、発熱し、汗出づるは、此れ熱越と為す。黄を発すること能はざるなり、但だ頭のみ汗出で、身に汗無く、劑(せい)頸して還(めぐ)り、小便不利、渇して水漿を引く者は、此れ瘀熱裏に在りと為す。身必ず黄を発す。茵蔯蒿湯之を主る。

茵陳蒿湯方
茵陳蒿六両 梔子十四枚 大黄二両
右三味、以水一斗、先煮茵蔯、減六升、内二味、煮取三升、去滓、分温三服、小便当利、尿如皀角汁状、色正赤、一宿腹減、黄従小便去也、

【訓読】
茵陳蒿湯の方
茵陳蒿六両 梔子十四枚 大黄二両
右三味、水一斗を以て、先づ茵蔯を煮て、六升を減じ、二味を内れ、煮三升を取り、滓を去り、分ち温め三服す。小便当に利すべし。尿皀角汁の状の如く、色正に赤し。一宿にて腹減ず。黄小便より去るなり。

第二百四十五章

陽明証、其人喜忘者、必有畜血、所以然者、本有久瘀血、故令喜忘、屎雖鞕、大便反易、其色必黒、宜抵当湯下之、

陽明証、其人喜忘者、必有畜血、屎雖鞕、大便反易、其色必黒、宜抵当湯下之、

【訓読】
陽明証、其の人喜忘する者は、必ず畜血有り、屎鞕しと雖も、大便反って易く、其の色必ず黒し。宜しく抵当湯にて之を下すべし。

●第十節…第二百四十六章、第二百四十七章、第二百四十八章、第二百四十九章、第二百五十章

第二百四十六章

陽明病、下之、心中懊憹而煩、胃中有燥屎者、可攻、腹微満、初頭鞕、後必溏、不可攻之、若有燥屎者、宜大承気湯、

【訓読】
陽明病、之を下し、心中懊憹して煩し、胃中に燥屎有る者は、攻むべし。腹微満し、初頭鞕く、後必ず溏するは、之を攻むべからず。若し燥屎有る者は、大承気湯に宜し。

第二百四十七章

病人、不大便、五六日、繞臍痛、煩躁、発作有時者、此有燥屎、故使不大便也、

病人、不大便、五六日、繞臍痛、煩躁、発作有時者、此有燥屎、故使不大便也、宜大承気湯、

【訓読】
病人、大便せざること、五六日、臍を繞って痛み、煩躁、発作時有る者は、此れ燥屎有り。故に大便せざらしむるなり。大承気湯に宜し。

第二百四十八章

病人、煩熱、汗出則解、又如瘧状、日晡所発熱者、属陽明也、脈実者、宜下之、脈浮虚者、宜発汗、下之、与大承気湯、発汗、宜桂枝湯、

【訓読】
病人、煩熱し、汗出づれば則ち解し、又瘧状の如く、日晡所発熱する者は、陽明に属するなり。脈実なる者は、宜しく之を下すべし。脈浮虚なる者は、宜しく発汗すべし。之を下すには、大承気湯を与ふ。発汗するには、桂枝湯に宜し。

第二百四十九章

大下後、六七日、不大便、煩不解、腹満痛者、此有燥屎也、所以然者、本有宿食故也、宜大承気湯、

大下後、六七日、不大便、煩不解、腹満痛者、此有燥屎也、宜大承気湯也、

【訓読】
大いに下して後、六七日、大便せず、煩解せず、腹満痛する者は、此れ燥屎有るなり。大承気湯に宜し。

第二百五十章

病人、小便不利、大便乍難乍易、時有微熱、喘冒不能臥者、有燥屎也、宜大承気湯、

【訓読】
病人、小便不利、大便乍ち難、乍ち易、時に微熱有り、喘冒して臥すること能はざる者は、燥屎有るなり。大承気湯に宜し。

●第十一節…第二百五十一章、第二百五十七章、第二百五十八章

第二百五十一章

食穀欲嘔者、属陽明也、呉茱萸湯主之、得湯反劇者、属上焦也

【訓読】
穀を食し嘔せんと欲する者は、陽明に属するなり。呉茱萸湯之を主る。湯を得て反って劇しき者は、上焦に属するなり。

呉茱萸湯方
呉茱萸一升 人参三両 生姜六両 大棗十二枚
右四味、以水七升、煮取二升、去滓、温服七合、日三服、

【訓読】
呉茱萸湯の方
呉茱萸一升 人参三両 生姜六両 大棗十二枚
右四味、水七升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、七合を温服す。日に三服。

以下の五章(第二百五十二章、第二百五十三章、第二百五十四章、第二百五十五章、第二百五十六章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百五十二章

太陽病、寸緩、関浮、尺弱、其人発熱、汗出、復悪寒、不嘔、但心下痞者、此以医下之也、如其不下者、病人不悪寒而渇者、此転属陽明也、小便数者、大便必鞕、不更衣十日、無所苦也、渇欲飲水、少少与之、但以法救之、渇者宜五苓散、

第二百五十三章

脈陽微、而汗出少者、為自和也、汗出多者、為太過、

第二百五十四章

陽脈実、因発其汗出多者、亦為太過、太過者、為陽絶於裏、亡津液、大便因鞕也、

第二百五十五章

脈浮而芤、浮為陽、芤為陰、浮芤相搏、胃気生熱、其陽則絶、

第二百五十六章

趺陽脈浮而濇、浮則胃気強、澀則小便数、浮澀相搏、大便則難、其脾為約、麻仁丸主之、

※此の章も、亦後人の補入する所ならん。此の章、本篇の初に、「太陽陽明は脾約是也」の文有るに拠って、此の論を起せる者の如し。然れども麻仁丸(麻子仁丸)の一方は、其の薬能を考え、証に従ひて之を用ふれば、能く緩下の効を奏すべし。…『傷寒論講義』

麻仁丸方
麻子仁二升 芍薬半斤 枳実半斤 大黄一斤 厚朴一尺 杏仁一升
右六味、為末煉蜜、為丸桐子大、飲服十丸、日三服、漸加、以〔和〕為度、

麻仁丸方
麻子仁二升 芍薬半斤 枳実半斤 大黄一斤 厚朴一尺 杏仁一升
右六味、為末煉蜜、為丸桐子大、飲服十丸、日三服、漸加、以知為度、

【訓読】
麻仁丸の方
麻子仁二升 芍薬半斤 枳実半斤 大黄一斤 厚朴一尺 杏仁一升
右六味、末と為し煉蜜にて、丸と為すこと桐子大、十丸を飲服す。日に三服。漸く加(ま)し、知るを以て度と為す。

第二百五十七章

太陽病、三日、発汗不解、蒸蒸発熱者、属胃也、調胃承気湯主之、

【訓読】
太陽病、三日、発汗して解せず、蒸蒸として発熱する者は、胃に属するなり。調胃承気湯之を主る。

第二百五十八章

傷寒、吐後、腹脹満者、与調胃承気湯、

【訓読】
傷寒、吐後、腹脹満する者は、調胃承気湯を与ふ。

以下の二章(第二百五十九章、第二百六十章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百五十九章

太陽病、若吐、若下、若発汗、微煩、小便数、大便因鞕者、与小承気湯和之愈、

第二百六十章

得病二三日、脈弱、無太陽柴胡証、煩躁、心下鞕、至四五日、雖能食、以小承気湯、少少与、微和之、令小安、至六日、与承気湯一升、若不大便、六七日、小便少者、雖不受食、但初頭鞕、後必溏、未定成鞕、攻之必溏、須小便利、屎定鞕、乃可攻之、宜大承気湯、

●第十二節…第二百六十一章、第二百六十二章、第二百六十三章

第二百六十一章

傷寒、六七日、目中不了了、睛不和、無表裏証、大便難、身微熱者、此為実也、急下之、宜大承気湯、

【訓読】
傷寒、六七日、目中了了たらず、睛和せず、表裏の証無く、大便難に、身微熱する者は、此れ実と為すなり。急に之を下す。大承気湯に宜し。

第二百六十二章

陽明病、発熱、汗多者、急下之、宜大承気湯、

【訓読】
陽明病、発熱し、汗多き者は、急に之を下す。大承気湯に宜し。

第二百六十三章

発汗不解、腹満痛者、急下之、宜大承気湯、

【訓読】
発汗して解せず、腹満痛する者は、急之を下す。大承気湯に宜し。

●第十三節…第二百六十四章、第二百六十五章

第二百六十四章

腹満不減、減不足言、当下之、宜大承気湯、

【訓読】
腹満減ぜず、減ずるも言うに足らず、当に之を下すべし。大承気湯に宜し。

第二百六十五章

陽明少陽合病、必下利、其脈不負者、順也、負者、失也、互相剋賊、名為負也、脈滑而数者、有宿食也、当下之、宜大承気湯、

陽明少陽合病、必下利、脈滑而数者、有宿食也、当下之、宜大承気湯、

【訓読】
陽明少陽の合病、必ず下利す。脈滑にして数なる者は、宿食有るなり。当に之を下すべし。大承気湯に宜し。

以下の三章(第二百六十六章、第二百六十七章、第二百六十八章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第二百六十六章

病人、無表裏証、発熱、七八日、雖脈浮数者、可下之、仮令已下、脈数不解、合熱則消穀善饑、至六七日、不大便者、有瘀血、宜抵当湯、

第二百六十七章

若脈数不解、而下不止、必協熱而便膿血也、

第二百六十八章

傷寒、発汗已、身目為黄、所以然者、以寒湿在裏不解故也、以為不可下也、於寒湿中求之、

●第十四節…第二百六十九章、第二百七十章、第二百七十一章

第二百六十九章

傷寒、七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、茵蔯蒿湯主之、

【訓読】
傷寒、七八日、身黄にして橘子色の如く、小便不利、腹微満する者、茵蔯蒿湯之を主る。

第二百七十章

傷寒、身黄、発熱者、梔子蘗皮湯主之、

【訓読】
傷寒、身黄に、発熱する者は、梔子蘗皮湯之を主る。

梔子蘗皮湯方
梔子十五個 甘草一両 黄蘗二両
右三味、以水四升、煮取一升半、去滓、分温再服、

【訓読】
梔子蘗皮湯の方
梔子十五個 甘草一両 黄蘗二両
右三味、水四升を以て、煮て一升半を取り、滓を去り、分ち温め再服す。

第二百七十一章

傷寒、瘀熱在裏、身必発黄、麻黄連軺赤小豆湯主之、

【訓読】
傷寒、瘀熱裏に在れば、身必ず黄を発す。麻黄連軺赤小豆湯之を主る。

麻黄連軺赤小豆湯方
麻黄二両 赤小豆一升 連軺二両 杏仁四十個 大棗十二枚 生梓白皮一升 生薑二両 甘草一両
已上八味、以潦水一斗、先煮麻黄再沸、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓、分温三服、半日服尽、

【訓読】
麻黄連軺赤小豆湯の方
麻黄二両 赤小豆一升 連軺二両 杏仁四十個 大棗十二枚 生梓白皮一升 生薑二両 甘草一両
已上八味、潦水(ろうすい)一斗を以て、先づ麻黄を煮て再沸し、上沫を去り、諸薬を内れ、煮て三升を取り、滓を去り、分ち温め三服す。半日にして服し尽くす。

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