傷寒論 原文 その3

HOME > 漢方資料 > 傷寒論 3

太陽病下篇

弁太陽病脈証并治 下

【訓読】
太陽病の脈証并びに治を弁ず 下

以下の三章(第百三十五章、第百三十六章、第百三十七章)は疑ふらくは、旧章に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百三十五章

問曰、病有結胸、有藏結、其状如何、答曰、按之痛、寸脈浮、関脈沈、名曰結胸也、何謂藏結、答曰、如結胸状、飲食如故、時時下利、寸脈浮、関脈小細沈緊、名曰藏結、舌上白胎滑者、難治、

第百三十六章

藏結無陽証、不往来寒熱、其人反静、舌上胎滑者、不可攻也、

第百三十七章

病発於陽、而反下之、熱入因作結胸、病発於陰、而反下之、因作痞、所以成結胸者、以下之太早故也、

●第一節…第百三十八章、第百三十九章、第百四十章

第百三十八章

結胸者、項亦強、如柔痙状、下之則和、宜大陥胸丸、

【訓読】
結胸の者にして、項も亦強ばること、柔痙の状の如きは、之を下せば則ち和す。大陥胸丸に宜し。

第百三十九章

結胸証、其脈浮大者、不可下、下之則死、

【訓読】
結胸の証、其の脈浮大なる者は、下すべからず。之を下せば則ち死す。

第百四十章

結胸証悉具、煩躁者亦死、

【訓読】
結胸の証悉く具わりて、煩躁する者も亦死す。

●第二節…第百四十一章、第百四十二章、第百四十三章、第百四十五章、第百四十八章

第百四十一章

太陽病、脈浮而動数、〔浮則為風、数則為熱、動則為痛、数則為虚〕、頭痛、発熱、微盗汗出、而反悪寒者、表未解也。医反下之、動数変遅、膈内拒痛、胃中空虚、客気動膈、短気躁煩、心中懊憹、陽気内陥、心下因鞕、則為結胸、大陥胸湯主之。若不結胸、但頭汗出、余処無汗、剤頸而還、小便不利、身必発黄也、

太陽病、脈浮而動数、頭痛、発熱、微盗汗出、而反悪寒者、表未解也。医反下之、動数変遅、膈内拒痛、胃中空虚、客気動膈、短気躁煩、心中懊憹、陽気内陥、心下因鞕、則為結胸、大陥胸湯主之。若不結胸、但頭汗出、余処無汗、剤頸而還、小便不利、身必発黄也、

【訓読】
太陽病、脈浮にして動数、頭痛、発熱し、微しく盗汗出で、而して反って悪寒する者、表未だ解せざるなり。医反って之を下し、動数遅に変じ、膈内拒痛し、胃中空虚に、客気膈に動き、短気躁煩し、心中懊憹し、陽気内陥し、心下因て鞕(かた)きときは、則ち結胸と為る、大陥胸湯之を主る。若し結胸せず、但だ頭のみ汗出で、余処に汗無く、剤(せい)頸して還(めぐ)り、小便利せざれば、身必ず黄を発するなり。

 

大陥胸湯方
大黄六両 芒消一斤 甘遂一銭匕
右三味、以水六升、先煮大黄取二升、去滓、内芒消、煮一両沸、内甘遂末、温服一升、得快利、止後服、

【訓読】
大陥胸湯の方
大黄六両 芒消一斤 甘遂一銭匕
右三味、水六升を以て、先づ大黄を煮て二升を取り、滓を去り、芒消を内れ、煮て一両沸し、甘遂末を内れ、一升を温服す。快利を得れば、後服を止む。

第百四十二章

傷寒六七日、結胸熱実、脈沈而緊、心下痛、按之石鞕者、大陥胸湯主之、

【訓読】
傷寒六七日、結胸熱実し、脈沈にして緊、心下痛み、之を按じて石のごとく鞕き者は、大陥胸湯之を主る。

第百四十三章

傷寒十余日、熱結在裏、復往来寒熱者、与大柴胡湯、但結胸、無大熱者、此為水結在胸脇也。但頭微汗出者、大陥胸湯主之、

【訓読】
傷寒十余日、熱結ぼれて裏に在り、復(かえ)って往来寒熱する者は、大柴胡湯を与ふ。但だ結胸し、大熱無き者、此れ水結ぼれて胸脇に在りと為すなり。但だ頭のみ微汗出づる者は、大陥胸湯之を主る。

第百四十四章

太陽病、重発汗、而復下之、不大便五六日、舌上燥而渇、日晡所小有潮熱、従心下至少腹、鞕満而痛、不可近者、大陥胸湯主之、

【訓読】
太陽病、重ねて発汗し、而して復(ま)た之を下し、大便せざること五六日、舌上燥いて渇し、日晡所(じっぽしょ)小(すこ)しく潮熱有り、心下より少腹に至るまで、鞕満して痛み、近づくべからざる者は、大陥胸湯之を主る。

第百四十五章

小結胸、病正在心下、按之則痛、脈浮滑者、小陥胸湯主之、

【訓読】
小結胸は、病正に心下に在り、之を按ずれば則ち痛み、脈浮滑の者、小陥胸湯之を主る。

小陥胸湯方
黄連一両 半夏半升 栝蔞実大者一個
右三味、以水六升、先煮栝蔞実、取三升、去滓、内諸薬、煮取二升、去滓、分温三服、

【訓読】
小陥胸湯方
黄連一両 半夏半升 栝蔞実大なる者一個
上三味、水六升を以て、先づ栝蔞実を煮て三升を取り、滓を去り、諸薬を内れ、煮て二升を取り、滓を去り、分ち温め三服す。

以下の二章(第百四十六章、第百四十七章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百四十六章

太陽病、二三日、不能臥、但欲起、心下必結、脈微弱者、此本有寒分也、反下之、若利止、必作結胸、未止者、四日復下之、此作協熱利也、

第百四十七章

太陽病、下之、其脈促、不結胸者、此為欲解也、脈浮者、必結胸也、脈緊者、必咽痛、脈弦者、必両脇拘急、脈細数者、頭痛未止、脈沈緊者、必欲嘔、脈沈滑者、協熱利、脈浮滑者、必下血、

第百四十八章

病在陽、応以汗解之、反以冷水潠之、若灌之、其熱被劫、不得去、彌更益煩、肉上粟起、意欲飲水、反不渇者、服文蛤散、若不差者、与五苓散、寒実結胸、無熱証者、与〔三物小陥胸湯〕、白散〔亦可服〕、

病在陽、応以汗解之、反以冷水潠之、若灌之、其熱被劫、不得去、彌更益煩、肉上粟起、意欲飲水、反不渇者、服文蛤散、若不差者、与五苓散、寒実結胸、無熱証者、与白散、

【訓読】
病陽に在れば、応(まさ)に汗を以て之を解すべきに、反って冷水を以て之を潠(ふ)き、若しくは之に灌(そそ)げば、其の熱劫(おびや)かされて、去ることを得ず。彌(いよいよ)更に益(ますます)煩し、肉上粟起(にくじょうぞっき)し、意に水を飲まんと欲して、反って渇せざる者は文蛤湯を服す。若し差へざる者は五苓散を与ふ。寒実結胸、熱証無き者は、白散を与ふ。

文蛤散方
文蛤五両
右一味、為散、以沸湯和一銭匕服、湯用五合、

【訓読】
文蛤散の方
文蛤五両
右一味、散と為し、沸湯を以て一銭匕を和し服す。湯は五合を用ふ。

白散方
桔梗三分 巴豆一分 貝母三分 右三味、為末、内巴豆、更於臼中杵之、以白飲和服、強人半銭、羸者減之、病在膈上必吐、在膈下必利、不利、進熱粥一杯、利過不止、進冷粥一盃、〔身熱、皮粟不解、欲引衣自覆者、若以水潠之洗之、益令熱劫不得出、当汗而不汗則煩、仮令汗出已、腹中痛、加芍薬三両、如上法〕、

白散方
桔梗三分 巴豆一分 貝母三分
右三味、為末、内巴豆、更於臼中杵之、以白飲和服、強人半銭、羸者減之、病在膈上必吐、在膈下必利、不利、進熱粥一杯、利過不止、進冷粥一盃、

【訓読】
白散の方
桔梗三分 巴豆一分 貝母三分
右三味、末と為し、巴豆を内れ、更に臼中に於て之を杵き、白飲を以て和し服す。強人半銭、羸者は之を減ず。病膈上に在れば必ず吐し、膈下に在れば必ず利す。利せずんば熱粥一杯を進む。利過ぎて止まずんば冷粥一盃を進む。

以下の章(第百四十九章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百四十九章

太陽与少陽併病、頭項強痛、或眩冒、時如結胸、心下痞鞕者、当刺大椎第一間、肺兪、肝兪、慎不可発、発汗則譫語、脈弦、五六日、譫語不止、当刺期門、

●第三節…第百五十章、第百五十一章、第百五十二章

第百五十章

婦人中風、発熱悪寒、経水適来、得之七八日、熱除而脈遅、身涼、胸脇下満、如結胸状、譫語者、此為熱入血室也、〔当刺期門、随其実而瀉之〕、

婦人中風、発熱悪寒、経水適来、得之七八日、熱除而脈遅、身涼、胸脇下満、如結胸状、譫語者、此為熱入血室也、

【訓読】
婦人の中風、発熱悪寒し、経水適(たまたま)来り、之を得て七八日、熱除いて脈遅に、身涼しく、胸脇下満ち、結胸の状の如く、譫語する者、此れ熱血室に入ると為すなり。

第百五十一章

婦人中風、七八日、続得寒熱、発作有時、経水適断者、此為熱入血室、其血必結、故使如瘧状、発作有時、小柴胡湯主之、

【訓読】
婦人の中風、七八日、続いて寒熱を得、発作時(とき)有り、経水適(たまたま)断つ者は、此れ熱血室に入ると為す。其の血(けつ)必ず結ぼる。故に瘧状の如く、発作時有らしむ。小柴胡湯之を主る。

第百五十二章

婦人傷寒、発熱、経水適来、昼日明了、暮則譫語、如見鬼状者、此為熱入血室、無犯胃気、及上〔二〕焦、必自愈、

婦人傷寒、発熱、経水適来、昼日明了、暮則譫語、如見鬼状者、此為熱入血室、無犯胃気、及上焦、必自愈、

【訓読】
婦人の傷寒、発熱し、経水適(たまたま)来り、昼日(ちゅうじつ)は明了、暮るれば則ち譫語し、鬼(き)を見る状の如き者は、此れ熱血室に入ると為す。胃気、及び上焦を犯すこと無ければ、必ず自(おの)づから愈ゆ。

●第四節…第百五十三章、第百五十四章

第百五十三章

傷寒、六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外証未去者、柴胡〔加〕桂枝湯主之、

傷寒、六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外証未去者、柴胡桂枝湯主之、

【訓読】
傷寒六七日、発熱し微悪寒し、支節煩疼(しせつはんとう)し、微嘔し、心下支結し、外証未だ去らざる者は、柴胡桂枝湯之を主る。

柴胡〔加〕桂枝湯方
桂枝一両半 黄芩一両半 人参一両半 甘草一両 半夏二合半 芍薬一両半 大棗六枚 生薑一両半 柴胡四両
右九味、以水七升、煮取三升、去滓、温服、

柴胡桂枝湯方
桂枝一両半 黄芩一両半 人参一両半 甘草一両 半夏二合半 芍薬一両半 大棗六枚 生薑一両半 柴胡四両
右九味、以水七升、煮取三升、去滓、温服、

【訓読】
柴胡桂枝湯の方
桂枝一両半 黄芩一両半 人参一両半 甘草一両 半夏二合半 芍薬一両半 大棗六枚 生薑一両半 柴胡四両
右九味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、温服す。

第百五十四章

傷寒、五六日、已発汗、而復下之、胸脇満、微結、小便不利、渇而不嘔、但頭汗出、往来寒熱、心煩者、此為未解也、柴胡桂枝乾薑湯主之、

【訓読】
傷寒、五六日、已に発汗し而して復た之を下し、胸脇満し微結し、小便利せず、渇して嘔せず、但だ頭のみ汗出で、往来寒熱し心煩する者は、此れ未だ解せずと為すなり。柴胡桂枝乾薑湯之を主る。

柴胡桂枝乾薑湯方
柴胡半斤 桂枝三両 乾薑三両 栝蔞根四両 黄芩三両 牡蠣三両 甘草二両
右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎、取三升、温服一升、日三服、〔初服微煩、復服、汗出便兪〕、

柴胡桂枝乾薑湯方
柴胡半斤 桂枝三両 乾薑三両 栝蔞根四両 黄芩三両 牡蠣三両 甘草二両
右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎、取三升、温服一升、日三服、

【訓読】
柴胡桂枝乾薑湯の方
柴胡半斤 桂枝三両 乾薑三両 栝蔞根四両 黄芩三両 牡蠣三両 甘草二両
右七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再煎し、三升を取り、一升を温服す。日に三服す。

以下の章(第百五十五章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百五十五章

傷寒、五六日、頭汗出、微悪寒、手足冷、心下満、口不欲食、大便鞕、脈細者、此為陽微結、必有表、復有裏也、脈沈亦在裏也、汗出為陽微、仮令純陰結、不得復有外証、悉入在裏、此為半在裏、半在外也。脈雖沈緊、不得為少陰病、所以然者、陰不得有汗、今頭汗出、故知非少陰也、可与小柴胡湯、設不了了者、得屎而解、

●第五節…第百五十六章、第百五十九章、第百六十一章、第百六十二章、第百六十三章、第百六十四章、第百六十五章、第百六十六章、第百六十八章

第百五十六章

傷寒、五六日、嘔而発熱者、柴胡湯証具也(※)、而以他薬下之、柴胡証仍在者、復与柴胡湯、此已雖下之、不為逆、必蒸蒸而振、却発熱汗出而解、若心下満而鞕満者、此為結胸也、大陥胸湯主之、但満而不痛者、此為痞、柴胡不中与之、宜半夏瀉心湯、

【訓読】
傷寒五六日、嘔して発熱する者、柴胡湯の証具はるなり。而るに他薬を以て之を下し、柴胡の証仍ほ在る者は、復た柴胡湯を与ふ、此れ已に之を下すと雖も、逆と為さず、必ず蒸蒸として振ひ却って発熱汗出でて解す。若し心下満して鞕満する者は、此れ結胸と為すなり、大陥胸湯之を主る。但だ満して痛まざる者、此れ痞と為す、柴胡之を与ふ中(あた)らず(※)、半夏瀉心湯に宜し。

半夏瀉心湯方
半夏半升 黄芩三両 乾薑三両 人参三両 黄連二両 大棗十二枚 甘草三両
右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、取三升、温服一升、日三服、

【訓読】
半夏瀉心湯の方
半夏半升 黄芩三両 乾薑三両 人参三両 黄連二両 大棗十二枚 甘草三両
右七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去り、三升を取り、一升を温服す。日に三服す。

以下の二章(第百五十七章、第百五十八章)は、共に本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百五十七章

太陽少陽併病、而半下之、成結胸、心下鞕、下痢不止、水漿不下、其人心煩、

第百五十八章

脈浮而緊、而復下之、緊反入裏、則作痞、按之自濡、但気痞耳、

第百五十九章

太陽中風、下利、嘔逆、〔表解者、乃可攻之〕、其人漐漐汗出、発作有時、頭痛、心下痞、鞕満、引脇下痛、乾嘔、短気、汗出、不悪寒者、〔此表解、裏未和也〕、十棗湯主之、

太陽中風、下利、嘔逆、其人漐漐汗出、発作有時、頭痛、心下痞、鞕満、引脇下痛、乾嘔、短気、汗出、不悪寒者、十棗湯主之、

【訓読】
  太陽の中風、下利、嘔逆す。其の人漐漐(ちゅうちゅう)として汗出で、発作時有り、頭痛し、心下痞し、鞕満して、脇下に引きて痛み、乾嘔し、短気し、汗出で悪寒せざる者は、十棗湯之を主る。

十棗湯方
芫花熬 甘遂 大戟 大棗十枚
右三味、等分、各擣、為散、以水一斗半、先煮大棗肥者一枚、取八合、去滓、内薬末、強人服一銭匕、羸人服半銭、〔温服之、平旦服〕、若下少、病不除者、明日更服、加半銭得快下利後、糜粥自養、

十棗湯方
芫花熬 甘遂 大戟 大棗十枚
右三味、等分、各擣、為散、以水一斗半、先煮大棗肥者一枚、取八合、去滓、内薬末、強人服一銭匕、羸人服半銭、若下少、病不除者、明日更服、加半銭得快下利後、糜粥自養、

【訓読】
十棗湯の方
芫花熬 甘遂 大戟 大棗十枚
右三味、等分、各(おのおの)に擣きて散と為し、水一斗半を以て先づ大棗肥なる者一枚を煮、八合を取り、滓を去り薬末を内れ、強人は一銭匕を服し、羸人は半銭を服す。若し下ること少なく、病除かざる者は、明日更に服す。半銭を加へ、快下利を得て後、糜粥にて自ら養ふ。

以下の章(第百六十章)、恐らくは本文に非ざらん。

第百六十章

太陽病、医発汗、遂発熱悪寒、因復下之、心下痞、表裏倶虚、陰陽気並竭、無陽則陰独也、復加焼針、因胸煩、面色青黄、膚瞤者、難治、今色微黄、手足温者、易愈、

第百六十一章

心下痞、按之濡、其脈関上浮者、大黄黄連瀉心湯主之、

【訓読】
心下痞し、之を按じて濡、其の脈関上浮なる者は、大黄黄連瀉心湯之を主る。

大黄黄連瀉心湯方
大黄二両 黄連一両
右二味、以麻沸湯二升、漬之、須臾、絞去滓、分温再服、

【訓読】
大黄黄連瀉心湯の方
大黄二両 黄連一両
右二味、麻沸湯二升を以て、之に漬し、須臾(しゅゆ)にして、絞りて滓を去り、分ち温め再服す。

第百六十二章

心下痞、而復悪寒、汗出者、附子瀉心湯主之、

【訓読】
心下痞し、而して復(かえ)って悪寒し、汗出づる者は、附子瀉心湯之を主る。

附子瀉心湯方
大黄二両 黄連一両 黄芩一両 附子一枚
右四味、切三味、以麻沸湯二升、漬之、須臾、絞去滓、内附子汁、分温再服、

【訓読】
附子瀉心湯の方
大黄二両 黄連一両 黄芩一両 附子一枚
右四味、三味を切り、麻沸湯二升を以て、之を漬し、須臾にして、絞りて滓を去り、附子汁を内れ、分ち温め再服す。

第百六十三章

本以下之故心下痞、与瀉心湯、痞不解、其人渇而口燥、煩、小便不利者、五苓散主之、

【訓読】
本(もと)之を下すを以ての故に心下痞す。瀉心湯を与へて、痞解せず、其の人渇して口(くち)燥き、煩し、小便利せざる者は、五苓散之を主る。

第百六十四章

傷寒、汗出解之後、胃中不和、心下痞鞕、乾噫食臭、脇下有水気、腹中雷鳴、下利者、生薑瀉心湯主之、

【訓読】
傷寒、汗出でて解するの後、胃中和せず、心下痞鞕し、食臭を乾噫(かんあい)し、脇下に水気有り、腹中雷鳴し、下利する者は、生薑瀉心湯之を主る。

生薑瀉心湯方
生薑四両 甘草三両 人参三両 乾薑一両 黄芩三両 半夏半升 黄連一両 大棗十二枚
右八味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服、

【訓読】
生薑瀉心湯の方
生薑四両 甘草三両 人参三両 乾薑一両 黄芩三両 半夏半升 黄連一両 大棗十二枚
右八味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再び煎じて三升を取り、一升を温服す。日に三服す。

第百六十五章

傷寒、中風、医反下之、其人下利、日数十行、穀不化、腹中雷鳴、心下痞鞕而満、乾嘔、心煩、不得安、医見心下痞、謂病不尽、復下之、其痞益甚、〔此非結熱、但以胃中虚、客気上逆、故使鞕也〕、甘草瀉心湯主之、

傷寒、中風、医反下之、其人下利、日数十行、穀不化、腹中雷鳴、心下痞鞕而満、乾嘔、心煩、不得安、医見心下痞、謂病不尽、復下之、其痞益甚、甘草瀉心湯主之、

【訓読】
傷寒、中風、医反って之を下し、其の人下利、日に数十行、穀化せず、腹中雷鳴し、心下痞鞕して満ち、乾嘔し、心煩して、安きを得ず、医心下の痞を見て、病尽きずと謂ひて、復た之を下し、其の痞益(ますます)甚し。甘草瀉心湯之を主る。

甘草瀉心湯方
甘草四両 黄芩三両 乾薑三両 半夏半升 大棗十二枚 黄連一両 人参三両
右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服、

【訓読】
甘草瀉心湯の方
甘草四両 黄芩三両 乾薑三両 半夏半升 大棗十二枚 黄連一両 人参三両
右七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再び煎じて三升を取り、一升を温服す。日に三服す。

第百六十六章

傷寒、服湯薬、下利不止、心下痞鞕、服瀉心湯已、復以他薬下之、利不止、医以理中与之、利益甚、理中者、理中焦、此利在下焦(※)、赤石脂禹余糧湯主之、復利不止者、当利其小便

傷寒、服湯薬、下利不止、心下痞鞕、服瀉心湯已、復以他薬下之、利不止、医以理中与之、利益甚、理中者、理中焦、此利在下焦、復利不止者、当利其小便、赤石脂禹余糧湯主之、

【訓読】
傷寒、湯薬を服して下利止まず、心下痞鞕す。瀉心湯を服し已(お)え、復た他薬を以て之を下し、利止まず、医理中を以て之を与へて、利益(ますます)甚し。理中は中焦を理む。此の利は下焦に在り。復た利止まざる者は、当に其の小便を利すべし。赤石脂禹余糧湯之を主る。

赤石脂禹余糧湯方
赤石脂一斤 禹余糧一斤
右二味、以水六升、煮取二升、去滓三服、

【訓読】
赤石脂禹余糧湯の方
赤石脂一斤 禹余糧一斤
右二味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り三服す。

以下の章(第百六十七章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百六十七章

傷寒、吐下後、発汗、虚煩、脈甚微、八九日、心下痞鞕、脇下痛、気上衝咽喉、眩冒、経脈動タ者、久而成痿、

第百六十八章

傷寒、発汗、若吐、若下、解後、心下痞鞕、噫気不除者、旋覆花代赭石湯主之、

【訓読】
傷寒、発汗し、若しくは吐し、若しくは下し、解して後、心下痞鞕し、噫気(あいき)除かざる者は、旋覆花代赭石湯之を主る。

旋覆花代赭石湯方
旋覆花三両 人参二両 生薑五両 半夏半升 代赭石二両 大棗十二枚 甘草三両
右件七味、以水一斗煮取六升、去滓、再煎、取三升、温服一升、日三服、

【訓読】
旋覆花代赭石湯の方
旋覆花三両 人参二両 生薑五両 半夏半升 代赭石二両 大棗十二枚 甘草三両
右件七味、水一斗を以て煮て六升を取り、滓を去り、再び煎じて三升を取り、一升を温服す。日に三服す。

以下の章(第百六十九章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百六十九章

下後、不可更行桂枝湯、若汗出而喘、無大熱者、可与麻黄杏子甘草石膏湯、

●第六節…第百七十章、第百七十一章

第百七十章

太陽病、外証未除、而数下之、遂協熱而利、利下不止、心下痞鞕、表裏不解者、桂枝人参湯主之、

【訓読】
  太陽病、外証未だ除かずして、数(しばしば)之を下し、遂に協熱して利し、利下止まず、心下痞鞕し、表裏解せざる者は、桂枝人参湯之を主る。

桂枝人参湯方
桂枝四両 甘草四両 白朮三両 人参三両 乾薑三両
右五味、以水九升、先煮四味、取五升、内桂、更煮、取三升、温服一升、日再、夜一服、

【訓読】
桂枝人参湯の方
桂枝四両 甘草四両 白朮三両 人参三両 乾薑三両
右五味、水九升を以て、先づ四味を煮て、五升を取り、桂を内れ、更に煮て、三升を取り一升を温服す。日に再、夜一服す。

第百七十一章

傷寒、大下後、復発汗、心下痞、悪寒者、表未解也。不可攻痞、当先解表、表解、乃可攻痞。解表、宜桂枝湯、攻痞、宜大黄黄連瀉心湯、

【訓読】
傷寒、大いに下して後、復(かえ)って発汗し、心下痞し、悪寒する者は、表未だ解せざるなり。痞を攻むべからず。当に先づ表を解すべし。表を解して、乃ち痞を攻むべし。表を解するには、桂枝湯に宜し。痞を攻むるには、大黄黄連瀉心湯に宜し。

●第七節…第百七十二章、第百七十三章

第百七十二章

傷寒、発熱、汗出不解、心下痞鞕、嘔吐而下利者、大柴胡湯主之、

【訓読】
傷寒、発熱し、汗出でて解せず、心下痞鞕し、嘔吐して下利する者は、大柴胡湯之を主る。

第百七十三章

病、如桂枝証、頭不痛、項不強、〔寸〕脈微浮、胸中痞鞕、気上衝咽喉、不得息者、〔此為胸有寒也〕、当吐之、宜瓜蒂散、

病、如桂枝証、頭不痛、項不強、脈微浮、胸中痞鞕、気上衝咽喉、不得息者、当吐之、宜瓜蒂散、

【訓読】
病、桂枝の証の如く、頭痛まず、項強ばらず、脈微浮、胸中痞鞕し、気咽喉に上衝し息するを得ざる者は、当に之を吐すべし。瓜蒂散に宜し。

瓜蒂散方
瓜蒂一分 赤小豆一分
右二味、各別擣篩為散已、合治之、取一銭匕、以香豉一合、用熱湯七合、煮作稀糜、去滓、取汁和散、温頓服之、不吐者、少少加、得快吐乃止、諸亡血虚家、不可与瓜蒂散、

【訓読】
瓜蒂散の方
瓜蒂一分 赤小豆一分
右二味、各(おのおの)別に擣き篩い散と為し已って、合して之を治め、一銭匕を取り、香豉一合を以て、熱湯七合を用い、煮て稀糜を作り、滓を去り、汁を取り散に和し、温めて之を頓服す。吐せざる者は、少少加へ、快吐を得れば乃ち止む。諸亡血虚家は、瓜蒂散を与ふべからず。

以下の章(第百七十四章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百七十四章

病、脇下素有痞、連在臍傍、痛引少腹、入陰筋者、此名蔵結、死、

●第八節…第百七十五章、第百七十六章、第百七十七章

第百七十五章

傷寒〔病〕、若吐、若下後、七八日不解、熱結在裏、表裏倶熱、時時悪風、大渇、舌上乾燥而煩、欲飲水数升者、白虎加人参湯主之、

傷寒、若吐、若下後、七八日不解、熱結在裏、表裏倶熱、時時悪風、大渇、舌上乾燥而煩、欲飲水数升者、白虎加人参湯主之、

【訓読】
傷寒、若しくは吐し、若しくは下して後、七八日解せず、熱結ぼれて裏に在り、表裏倶に熱し、時時悪風し、大いに渇し、舌上乾燥して煩し、水数升を飲まんと欲する者は、白虎加人参湯之を主る。

第百七十六章

傷寒、無大熱、口燥、渇、心煩、背微悪寒者、白虎加人参湯主之、

【訓読】
傷寒、大熱無く、口燥き渇し、心煩し、背微悪寒する者は、白虎加人参湯之を主る。

第百七十七章

傷寒、脈浮、発熱、無汗、其表不解者、不可与白虎湯、渇欲飲水、無表証者、白虎加人参湯主之、

【訓読】
傷寒、脈浮に、発熱し、汗無く、其の表解せざる者は、白虎湯を与ふべからず。渇して水を飲まんと欲し、表証無き者は、白虎加人参湯之を主る。

以下の章(第百七十八章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百七十八章

太陽少陽併病、心下鞕、頸項強而眩者、当刺大椎肺兪、慎勿下之、

●第九節…第百七十九章、第百八十章

第百七十九章

太陽与少陽合病、自下利者、与黄芩湯、若嘔者、黄芩加半夏生薑湯主之、

【訓読】
太陽と少陽との合病、自下利する者は黄芩湯を与ふ。若し嘔する者は、黄芩加半夏生薑湯之を主る。

黄芩湯方
黄芩三両 甘草二両 芍薬二両 大棗十二枚
右四味、以水一斗、煮取三升、去滓、温服一升、日再、夜一服、

【訓読】
黄芩湯の方
黄芩三両 甘草二両 芍薬二両 大棗十二枚
右四味、水一斗を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。日に再び、夜一服す。

黄芩加半夏生薑湯方
黄芩三両 甘草二両 芍薬二両 大棗十二枚 半夏半升 生薑三両
右六味、以水一斗、煮取三升、去滓、温服一升、日に再、夜一服、

【訓読】
黄芩加半夏生薑湯の方
黄芩三両 甘草二両 芍薬二両 大棗十二枚 半夏半升 生薑三両
右六味、水一斗を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。日に再、夜一服す。

第百八十章

傷寒、胸中有熱、胃中有邪気、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之、

【訓読】
傷寒、胸中に熱有り胃中に邪気有り、腹中痛み嘔吐せんと欲する者は、黄連湯之を主る。

黄連湯方
黄連三両 甘草三両 乾薑三両 桂枝三両 人参二両 半夏半升 大棗一二枚
右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服一升、日三服、夜二服、

【訓読】
黄連湯の方
黄連三両 甘草三両 乾薑三両 桂枝三両 人参二両 半夏半升 大棗一二枚
右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服一升。日に三服、夜二服す。

●第十節…第百八十一章、第百八十二章

第百八十一章

傷寒、八九日、風湿相搏、身体煩疼、不能自転側、不嘔、不渇、脈浮虚而濇者、桂枝附子湯主之、若其人大便鞕、小便自利者、去桂加白朮湯主之、

【訓読】
傷寒八九日、風湿相搏(せま)り、身体煩疼し、自ら転側する能はず、嘔せず、渇せず、脈浮虚にして濇なる者は、桂枝附子湯之を主る。若し其人大便鞕く、小便自利する者は、去桂加白朮湯之を主る。

桂枝附子湯
桂枝四両 附子三枚 生薑三両 大棗十二枚 甘草二両
右五味、以水六升、煮取二升、去滓、分温三服、

【訓読】
桂枝附子の湯 桂枝四両 附子三枚 生薑三両 大棗十二枚 甘草二両
右五味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、分ち温め三服す。

※原本、去桂加白朮湯の処方を脱す。今成本により之を記す。

桂枝附子去桂枝加白朮湯方
於桂枝附子湯方内、去桂枝、加白朮四両、余依桂枝附子湯法、

【訓読】
桂枝附子去桂枝加白朮湯の方
桂枝附子湯方内に於て、桂枝を去り、白朮四両を加ふ。余は桂枝附子湯の法に依る。

第百八十二章

風湿相搏、骨節煩疼、掣痛、不得屈伸、近之則痛劇、汗出、短気、小便不利、悪風、不欲去衣、或身微腫者、甘草附子湯主之、

【訓読】
風湿相搏(せま)り、骨節煩疼し、掣痛し屈伸するを得ず、之に近づけば則ち痛み劇しく、汗出で短気し、小便利せず、悪風して衣を去るを欲せず、或は身微腫する者は、甘草附子湯之を主る。

甘草附子湯方
甘草三両 附子二枚、白朮二両 桂枝四両
右四味、以水六升、煮取二升、去滓、温服一升、日三服、〔初服得微汗則解、能食、汗出、復煩者、服五合、恐一升多者、宜服六七合為妙〕、

甘草附子湯方
甘草三両 附子二枚、白朮二両 桂枝四両
右四味、以水六升、煮取二升、去滓、温服一升、日三服、

【訓読】
甘草附子湯の方
甘草三両 附子二枚、白朮二両 桂枝四両
右四味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、一升を温服す。日に三服。

●第十一節…第百八十三章、第百八十四章

第百八十三章

傷寒、脈浮滑、〔此表有熱、裏有寒〕、白虎湯主之、

傷寒、脈浮滑、白虎湯主之、

【訓読】
傷寒、脈浮滑なるは、白虎湯之を主る。

白虎湯方
知母六両 石膏一斤 甘草一両 粳米六合
右四味、以水一斗、煮米熟、湯成、去滓、温服一升、日三服、

【訓読】
白虎湯の方
知母六両 石膏一斤 甘草一両 粳米六合
右四味、水一斗を以て、煮て米熟し、湯成り、滓を去り、一升を温服す。日に三服。

第百八十四章

傷寒、脈結代、心動悸、炙甘草湯主之、

【訓読】
傷寒、脈結代し、心動悸するは、炙甘草湯之を主る。

炙甘草湯方
甘草四両 生薑三両 桂枝三両 人参二両 生地黄一斤 阿膠二両 麦門冬半升 麻子仁半升 大棗十二枚
右九味、以清酒七升、水八升、先煮八味、取三升、去滓、内膠、烊消尽、温服一升、日三服、一名復脈湯、

【訓読】
炙甘草湯の方
 甘草四両 生薑三両 桂枝三両 人参二両 生地黄一斤 阿膠二両 麦門冬半升 麻子仁半升 大棗十二枚
右九味、清酒七升、水八升を以て、先づ八味を煮て三升を取り、滓を去り、膠を内れ、烊消し尽し、一升を温服す。日に三服。一に復脈湯と名づく。

以下の章(第百八十五章)、恐らくは本文に非ざらん。…『傷寒論講義』

第百八十五章

脈按之来緩、而時一止、復来者、名曰結、又脈来、動而中止、更来小数、中有還者、反動、名曰結、陰也、脈来、動而中止、不能自還、因而復動、名曰代、陰也、得此脈者、必難治、

<<HOME <<漢方資料


Copyright© 2006-2015 KENICHI TSUKADA All reserved.

Valid HTML 4.01 Strict Valid HTML 4.01 Strict