太陰病

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陽病から陰病への移行期

太陰病(たいいんびょう)は陰病の始まりですが、厳密には陽病から陰病への移行期にあたります。真の陰病は少陰病からになります。

〈傷寒論〉太陰病篇第282章
太陰の病為る、腹満して吐し、食下らず、自利益甚しく、時に腹自ずから痛む。若し之を下せば必ず胸下結鞕す

病む部位は、図の赤い部分で陽明病と同じ裏(消化管内)でありますが、今まで体力が病毒(びょうどく)よりも優勢だったのが、攻守所を入れ替えて、徐々に病毒の方が体力より勢いが勝(まさ)ってきます。陽病のような熱候がなく、冷えが消化管の中を支配していきます。

病勢は積極的でなく緩慢になります。ただ太陰病では気力、精力は未だ著しくは衰えてはいないので、少し陽病のような症候を呈することがあります。桂枝加大黄湯(けいしかだいおうとう)、大黄附子湯(だいおうぶしとう)、附子瀉心湯(ぶししゃしんとう)といった温下剤です。
また太陰病では陽明病と同じく、腹満(お腹の張り)という症状がありますが、陽明病の腹力充実した胃実(下剤をかけるべき状態)に対して、太陰病は腹力はそれほど強くない(安易に下剤をかけてはならない状態)虚満であります。その他太陰病の主な症状としましては、腹痛、食欲不振、嘔吐、下痢、手足のほてりなどがあります。

この消化管を含むお腹というのは、食物の栄養を取り込む重要な臓器でありますが、これは漢方においても同じでありまして、穀気を司ります。ところが太陰病では、このお腹に冷えなどが絡んでその機能が充分に働かず、穀気を思うように取り込めずにお腹、ひいては体全体の元気がでないということになるのです。このお腹の元気を取り戻すのに、人参湯(にんじんとう)や小建中湯(しょうけんちゅうとう)といった薬方を使います。お腹の冷えは、体の元気と密接な関係があるのです。
太陰病は、以前に紹介した少陽病(しょうようびょう)(図の黄色の部分)とともに、やはり病気の淀みやすい所であり、所属する薬方も多岐にわたります。不妊症や生理不順で用いる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や温経湯(うんけいとう)も太陰病に属する薬方です。その他下半身の老化に伴う衰えを防ぐ八味地黄丸(はちみじおうがん)などもあります。

太陰病に属する主な薬方
桂枝加芍薬湯 桂枝加大黄湯 小建中湯 黄耆建中湯 当帰建中湯 大建中湯 人参湯 桂枝人参湯 呉茱萸湯 当帰芍薬散 温経湯 八味地黄丸 黄連阿膠湯 

〔画像/太陰病の図〕

 
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