自然治癒力

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〔画像/『自然治癒力を活かせ』小倉重成〕

漢方薬はどうして効くのか

漢方薬はどうして効くのか?
恐らく誰もが抱く疑問かもしれません。これは大変難しい質問でもあります。具体的にはまだ誰も万人を納得させる回答を得ていないといってよいでしょう。

漢方薬は複数の薬味である生薬(しょうやく)から構成された複合体(処方)であります。そこから通常は水から煎じて、各生薬のエキスを取り出して薬として使用します。現在は各生薬の含有成分を抽出し、その薬理効果を実験により解明することはできています。しかしそれだけではまだその薬方の効果を解き明かしたことにはなりません。そしてそれ以上に漢方薬の効き目のデータを平等に集めるのはとても難しいのです。

漢方では「証」(しょう)という独特の考え方に基づいて、薬方を決定してきます。「証」とは「あかし」であり、病気の本態を探るうえでの状況証拠のようなものであります。この証を病者の訴えから的確に把握するのことが、漢方の重要な技術であり習得するまでに長い経験と研鑽を要します。漢方薬が何故効くかということを考えることは重要ですが、どう効かせるかあるいは本当に効いているのかを確認することはもっと重要な主題であります。

漢方薬が何故効くかということについては、少し抽象的な表現で説明されることがあります。それが自然治癒力です。この自然治癒力とは、私は免疫力のことを言外に含めていると考えています。『免疫学個人授業』(南伸坊、多田富雄共著)の中に「近年になると東洋医学が見直され『自然治癒力』というコトバが聞こえてくるようになった。この自然に治る力というのは、つまり免疫系などのからだをいつもの状態にもどす力のことだろう」とあります。漢方薬は何故効くのかといえば、この自然治癒力という免疫系の働きに作用するといってよいでしょう。

病気が治るというのは、実際には薬ではなく病気に罹った者が持っている自然治癒力で治しています。漢方薬はその自然治癒力を引き出すための杖と考えればその役割が理解できます。その病を治すだけの自然治癒力が残っていれば、その病者は治癒することができ、残っていなければ不治の転機をとりますが、自然治癒力が残っているにもかかわらず、なかなか発揮されないことがあります。その時こそ漢方薬の真の出番となるのです。漢方薬は自然治癒力がより早く、より的確に発揮できるよう促す働きがあり、それにより病を速やかに治していると考えれば、漢方薬の効果を実感したことがある方には納得できると思います。この自然治癒力を持ち上げるためには、漢方薬とともにもう一つ大切なことがあります。それが養生です。この養生の大切は、漢方の先達も薬方の運用に関して開眼すると、必ず養生法に向かっていくことからも分かります。『古訓医伝』(宇津木昆台)では「養生を守らずして病の全快したるためしなし」といっています。漢方と養生と自然治癒力は三位一体なのです。


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